このような方にお勧めの記事です
  • 筋肉痛が来ないと、効いていない気がする方
  • 強い筋肉痛が出ると、しっかり効いた証拠だと思っている方
  • 続けるうちに筋肉痛が出なくなって、不安になった方

「筋肉痛が来ないんですが、効いていないんでしょうか」

これも、よくいただく質問です。

逆に「今回はすごい筋肉痛でした」と、うれしそうに報告してくださる方もいます。

どちらの方も、筋肉痛を「効いたかどうかのものさし」として使っています。気持ちは分かります。運動の効果は目に見えませんが、筋肉痛だけは、はっきり感じられるからです。

ただ、ものさしとしては、かなり不正確です。かといって、まったく無意味でもありません。読み方さえ間違えなければ、筋肉痛から読み取れることもあります。

とくに「最近、筋肉痛が来なくなった」と不安になっている方に、先にお伝えしておきます。それは、体が変わっていないサインではありません。

この記事の結論を先にお伝えします

  • 筋肉痛は「その筋肉を使った」証拠にはなる
  • ただし「どれだけ効いたか」の目安にはならない
  • 慣れるほど出なくなるので、出なくなっても心配いらない
  • 筋肉痛を出すことを、目的にする必要はない

筋肉痛が出た場所は、使った筋肉の手がかりになる

まず、筋肉痛から確かに読み取れることからお話しします。

筋肉痛は、その動作を行った筋肉に限って起こります。全身に散らばるものではありません。太ももに来たなら太ももが、お尻に来たならお尻が、その運動で働いていたということです。

これは、思っているより使える情報です。

たとえば、運動を始めたばかりの方がスクワットをして、翌日にお尻ともも裏へ筋肉痛が来たとします。

これは、股関節を伸ばす動きで、しっかり力を発揮できていたということです。

というのも、スクワットを始めたばかりの方は、膝だけを曲げ伸ばしする動きになりやすいからです。そうなると、もも前ばかりが働いて、お尻ともも裏はあまり使われません。

ですので私は、お尻ともも裏に来たと聞いたときは、「狙いどおりです」とお伝えしています。

「痛いのはイヤなんですけど」と言われることもあります。ただ、その場所に来たということは、動き方が良い方向に進んでいるということでもあります。

筋肉痛が出なかった日は、判断材料にならない

ただし、これは「出たとき」にだけ使える読み方です。

狙ったところに来ていれば、それは良い手がかりです。でも、来なかったからといって「使えていなかった」とは言えません。

筋肉痛が出るかどうかは、その刺激に慣れているかどうかで大きく変わるからです。しっかり使えていても、慣れていれば出ません。

同じ理由で、強さの比べ合いもできません。「もも前よりお尻のほうが痛いから、お尻のほうがよく働いた」とはならないのです。普段からよく歩く方はもも前が慣れているぶん、同じ運動をしてもお尻だけ強く出ます。

まとめると、筋肉痛が出たときに、そこの筋肉が働いていたと分かる。この使い方であれば、確かな情報として活かせます。

スクワットそのものについては、「スクワットが変える7つのこと」知らなきゃ損する健康&見た目の効果とは?もあわせてご覧ください。

筋肉痛の強さは、効果の大きさと一致しない

ここからが本題です。

強い筋肉痛が出た日を「よく効いた日」と受け取るのは、悪いことではありません。運動した実感になりますし、その日の運動に価値があったことも本当です。

気をつけたいのは、その裏返しのほうです。「痛くならなかった日は、効かなかった日」。ここは、事実と違います。

ちょうど、この疑問に答える研究があります。同じ運動プログラムを8週間行うにあたって、参加者を2つのグループに分けたものです。

AグループBグループ
最初の3週間徐々に負荷を上げた最初から強い負荷
筋肉の傷つき具合低いままAの5倍以上
筋肉痛ほとんど出ず出た
8週間後の筋量の増加6.5%7.5%
8週間後の筋力の伸び25%26%

痛みも損傷も、片方だけが圧倒的に大きかったのに、伸びはほぼ同じでした。

著者は、こう結論づけています。

筋の再構築、たとえば筋肥大は、目に見える損傷とは独立して始まりうる

言い換えると、筋肉が増えていく働きは、痛みが出ていなくても、ちゃんと始まっているということです。

筋肉痛が出なかった日を、心配する必要はありません。

別の研究では、体が変わりはじめるタイミングも調べられています。ダメージが大きかった最初の時期よりも、ダメージが落ち着いてからのほうが、筋肉は増えていました。

※Flannらの研究は参加者14人(大学生)と小規模です。ただ、ここで挙げた見方は2022年にまとめられた総説でも維持されているので、この1本だけの話ではありません。

そもそも筋肉痛の原因は、まだ確定していない

もうひとつ、知っておいていただきたいことがあります。

筋肉痛がなぜ起こるのか、実はまだ完全には分かっていません。

かつては「乳酸がたまるから」と説明されていました。これは現在、否定されています。乳酸はエネルギーとして再利用されるもので、疲労物質ではないと分かってきたからです。

では「筋肉が傷つくから痛い」のかというと、この説明も、そのままでは通らなくなってきています。

2024年に日本の研究者がまとめた総説では、こう報告されています。

  • 筋肉の傷つき具合と、筋肉痛の出方や強さが、時間的に合わなかった
  • 実験では、筋肉の傷つきも炎症の形跡も見られないのに、筋肉痛が起きた

いま有力とされているのは、運動をきっかけに神経成長因子(NGF)などの物質が増え、痛みを感じる神経そのものが過敏になるという仕組みです。筋肉が壊れているから痛いのではなく、痛みを感じ取る側が敏感になっている、という考え方です。

ただし、これで全部が説明できたわけでもありません。総説の中でも、まだ分かっていない点が挙げられています。

痛みの強さは、体の中で起きていることを、そのまま映しているわけではないということです。痛くなかった日を、心配する必要はありません。

筋肉痛が来なくなっても効果がないわけではない

そして、ここがいちばんお伝えしたいところです。

同じ運動を繰り返すと、2回目以降は筋肉痛が出にくくなります。体がその刺激に適応するためで、反復効果と呼ばれています。

筋肉痛が出なくなったのは、効かなくなったからではありません。慣れたからです。

続けている方から「最近、筋肉痛が来なくなったんですが、効いていないんでしょうか」と聞かれることがあります。そのたびに「体が慣れた証拠です」とお伝えしています。

「明日、筋肉痛になりますか?」と聞かれることもあります。なるかどうかは、その日の内容だけでなく、その方がどれくらい慣れているかでも変わります。

むしろ、続けている人ほど出なくなるのが自然です。ここで不安になって運動をやめてしまうのが、いちばんもったいない誤解だと思っています。

筋肉痛より「重さ・回数・動き」の変化を見る

では、何を見ればいいのか。

扱える重さ、こなせる回数、動作のしやすさです。

これらは、筋肉痛と違って慣れの影響を受けません。先月より重いものが持てる。同じ重さで回数が増えた。階段が軽く感じる。こちらのほうが、よほど正直な変化です。

私も、筋肉痛の有無ではなく、こうした変化のほうを見ていただくようにしています。

そしてもう1つ。筋肉痛を出すことを、狙いにいく必要はありません。

ここは、少していねいにお伝えします。

筋肉痛が出やすいのは、筋肉が伸ばされながら力を出す動きです。スクワットでしゃがんでいく場面や、階段を下りる動きがこれにあたります。そしてこの動きは、体づくりに有効な動きでもあります。

ですので「筋肉痛が出る運動は、いい運動だ」という感覚は、まったくの的外れではありません。

ただ、効いているのはその動きのほうであって、痛みそのものではありません。先ほどの研究を思い出してください。あの2つのグループは、同じ運動を、同じ量だけ行っています。そのうえで、慣らしてから行ったグループは痛みも損傷もほとんど出さずに、同じだけ伸びていました。

痛い思いをしたぶんだけ得をする、という関係ではないのです。

はじめてのレッスンで、私が必ずしていること

  • いきなり強い筋肉痛が出ないように、軽めから始める
  • 翌日の生活に支障が出ない範囲にとどめる
  • 慣れてきたところで、少しずつ上げていく

初回で強い筋肉痛を出してしまうと、翌日から数日間、体を動かすのがつらくなります。始めたばかりの時期に「運動=つらいもの」という印象がついてしまうと、続きません。

どれくらいの運動量が自分に合っているかについては、“適度な運動”ってどれくらい?あなたに合った無理なく続く運動量の見つけ方でお伝えしています。

まとめ

  • 筋肉痛は、その筋肉を使った証拠にはなる
  • 出た場所は、狙いどおりだったかの手がかりになる
  • ただし出なかったからといって、使えていなかったわけではない
  • 筋肉痛の強さと、効果の大きさは一致しない
  • 慣れるほど出なくなるので、出なくなっても心配いらない
  • 見るなら、扱える重さや回数の変化

筋肉痛は、運動をした実感を与えてくれるものです。出たときに前向きに受け取るのは、いいことだと思います。

ただ、出なかった日を「意味がなかった日」にする必要はありません。

続けている方ほど、筋肉痛は出なくなっていきます。それは、体がついてきた証拠です。

運動の効果を、一人で判断しなくて大丈夫です

「これで合っているのか分からない」

「効いている実感がない」

そう感じている方は、一度ご相談ください。

まちの隠れ家ジム宿河原では、その日の状態を見ながら内容を決めています。筋肉痛の有無ではなく、扱える重さや動きの変化で確認していきます。

気になる方は、こちらから詳細をご覧ください。

https://machigym-syukugawara.com/