このような方にお勧めの記事です
  • 食べる量は変わっていないのに、体型が変わってきた方
  • 40代後半から50代で、以前と同じやり方が通じないと感じている方
  • 「更年期だから仕方ない」で止まってしまっている方

「食べる量は変わっていないのに、お腹まわりだけ出てきた」

40代後半から50代の方から、本当によくいただく相談です。

体重はそこまで増えていない。なのに、明らかに体型が変わってきた。同じように動いているのに、以前のようには戻らない。

先にお伝えしておきます。私は男性です。

男性にも加齢によるホルモン低下(LOH症候群、いわゆる男性更年期)はあります。ただし女性の場合は閉経前後の約10年で急激に変化するのに対し、男性は中年以降に緩やかに下がっていくもので、変化の速さも、経過のしかたも違います。

ですので、私が女性の更年期を経験したことはありません。「わかります」とは書けません。

この記事は、同じ世代のお客様から実際に伺ってきたことと、調べた資料をもとに書いています。体を見る仕事をしている立場から、整理できることはあると思っています。

そのうえで、お伝えしたいことがあります。

体重が増えていないのにお腹が出るのは、気のせいでも、たるみでもありません。体の中身が入れ替わっているからです。

この記事の結論を先にお伝えします

  • 体重はなだらかにしか動きません。変わっているのは中身(脂肪が増え、筋肉が減る)です
  • 変化が速いのは限られた期間だけ。ずっと続くわけではありません
  • この時期に減るのは筋肉と骨。運動が直接効く場所です
  • ただし今までと同じやり方は通じません。進め方を変えてください

「食べていないのに増えた」はよくある相談です

まず、この年代の方から特に増える相談を挙げておきます。

  • 食べる量は変わっていないのに、体重が増えた
  • お腹まわりだけが出てきた
  • 急に暑くなって、汗が噴き出す
  • イライラしたり、落ち込んだりする

他の年代の方からは、ここまでまとまって出てこない相談です。

そして指導している側から見ても、違いを感じることがあります。同じ運動量をこなしていても、以前ほど体重が落ちない。汗のかき方も変わります。

つまり「気のせい」ではありません。まずそこをお伝えしておきたいと思います。

ちなみに更年期とは、閉経をはさんだ前後5年ずつ、合わせて約10年間を指します。日本人の閉経の平均年齢は50.5歳なので、おおよそ45歳すぎから55歳すぎまでです(女性の健康推進室ヘルスケアラボ/厚生労働省研究班監修)。

体重は変わらないのに、体の中身が入れ替わっています

鏡の前でウエストを気にする女性

ここが今日いちばんお伝えしたいところです。

アメリカで女性の健康を長期に追跡している研究(SWAN)で、はっきりした結果が出ています。約1,250人を対象に、最終月経の約9年前から10年後まで、専用の装置で体組成を測り続けたものです。

体重は、閉経前から少しずつ直線的に増えるだけで、途中で加速はしませんでした。そして閉経移行期を過ぎると、変化は平坦になります。

ところが同じ時期に、脂肪が増えるペースは2倍になり、筋肉などの除脂肪量は減り始めていました。

Greendaleら「Changes in body composition and weight during the menopause transition」(JCI Insight, 2019

増えるものと減るものが同時に起きているので、差し引きした体重はあまり動きません。

体重計に乗っても変化が見えないのは、当たり前だったんです。変わっているのは「重さ」ではなく「中身」なので。

脂肪のつく場所も、変わります

もうひとつ、お腹まわりに関係する変化があります。

エストロゲン(女性ホルモン)には、皮下脂肪の蓄積を促しつつ、内臓脂肪がつくのを抑える働きがあります。

そのエストロゲンが減ると、抑えが外れます。すると脂肪が内臓のまわりに集まりやすくなります。

若い頃は下半身が気になる「洋ナシ型」だった方が、この時期からウエストまわりが目立つ「リンゴ型」に近づいていく。体型の印象が変わるのは、これが理由です。

※閉経前は脂肪が皮下や太もも・お尻に優先的につき、閉経に向かうにつれて内臓側へ移っていくことが、複数の追跡研究で報告されています。

「食べる量は変わっていないのに、お腹だけ出てきた」

この訴えは、体の中で起きていることを正確に言い当てています。食べ方の問題ではありません。

体の中身が変わるのは、限られた期間だけです

ここは、ぜひ知っておいていただきたい点です。

先ほどの研究では、変化のタイミングまで分かっています。

脂肪の増加と筋肉の減少が加速するのは閉経に向かう移行期に入ってからで、最終月経の2年後まで続きます。

そして、その後は変化がほぼ止まります。研究では「傾きがゼロになる」と表現されています。

「これからずっと、こうやって崩れ続けるのだろうか」と思われる方は多いのですが、そうではありません。変化が速い時期を過ぎれば、落ち着いてきます。

この時期に体重が落ちにくいのは、当然です

ここまでを踏まえると、はっきり言えることがあります。

この時期に「体重を落とす」を目標にすると、ほぼ確実に失望します。

そもそも体重はなだらかにしか動かない時期です。そこに脂肪が増えて筋肉が減るという動きが重なっています。

そしてもうひとつ、消費するエネルギーそのものが下がっているという報告があります。

156人の女性を4年間追った研究では、閉経を迎えた方の1日の総エネルギー消費が9.3%低下していました。

ただし、閉経しなかった方でも7.0%下がっています。加齢による分もあるということです。そのうえで、閉経した方のほうが下がり幅は大きくなっていました。

さらに脂肪を燃やす量は、閉経した方だけで32%低下していました。閉経しなかった方では変化していません。

Lovejoyら「Increased visceral fat and decreased energy expenditure during the menopausal transition」(International Journal of Obesity, 2008

頑張っても数字が動かないのは、努力の問題ではありません。

同じ運動量をこなしていても以前ほど落ちない方は多く、私も指導していてそう感じます。数字のうえでも、そうなっていました。

だから、体重計の数字を主役から降ろしてください。この時期に限っては、見るべきものが別にあります。

それでも、この時期の運動には価値があります

ここが本題です。

この時期に減っていくのは、筋肉と骨です。そしてこの2つは、運動が直接効く場所です。

骨は、かなりのペースで減ります

エストロゲンには、骨を壊す働きを抑える役割があります。減れば、抑えが効かなくなります。

減少のペースは資料によって幅がありますが、閉経後1年で2〜3%、5年で15〜20%という記載や、50代で年に2%、10年で20%という記載があります。

※数値は情報源によって差があります。ただし「閉経後の10年間で急速に減る」という点は共通しています。

いずれにしても、体重が動かない間に、骨は確実に減っています。そして骨は、減ってから気づいても戻すのが難しいものです。

『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン』でも運動療法が位置づけられていて、体重のかかる運動や筋力トレーニングが挙げられています。骨については骨が弱くなる前に!40代から始める”骨を守る”運動習慣でも書いています。

筋肉も、放っておくと減る一方です

エストロゲンは、筋肉の修復や合成にも関わっています。減れば、筋肉も維持しにくくなります。

つまりこの時期は、何もしないと減っていく側に傾いているということです。

効果が出にくい時期なのではありません。やる価値が上がっている時期です。

なお、運動で更年期症状そのものが軽くなったという報告もあります。軽い更年期症状のある方に、低強度の有酸素運動を週2回・12週間続けてもらったところ、更年期障害指数の合計点が有意に下がったという研究があります。国内では自転車こぎやウォーキング、水中歩行での報告が、海外では有酸素運動やヨガでの報告があります。

ただし正直に書いておくと、これは「報告がある」という段階です。「運動すれば症状が軽くなります」と約束できるほど確立してはいません。期待しすぎないでください。

私が確実にお伝えできるのは、骨と筋肉のほうです。ここは運動が効きます。

ただし、今までと同じやり方は通じません

トレーナーが体調の話を聞く様子

では、どう進めるか。私がこの年代の方に対して変えていることを、3つお伝えします。

1. メニューを固定しません

私はこの年代の方について、あらかじめ決めたメニューを最後まで通す、ということをしません。その日の様子を見て変えます。

調子に波があるからです。そしてその波は、意志の問題ではありません。

「前回できたのに今日はできない」と落ち込まれる方がいますが、落ち込む必要はありません。できる日にできることをすれば十分です。

2. 運動の前に、生活と睡眠の話を聞きます

トレーニングの内容よりも先に、最近眠れているか、生活がどうなっているかを伺います。

その日の体調は生活側の影響を強く受けますし、そこを無視して負荷だけ決めても、うまくいきません。

3. 期間を長めに設定します

目標までの期間を、他の年代より長く取ります。

半年で結果を出そうとしないでください。この時期は、それでいいんです。急いだところで、体のほうが変化の途中にあります。

この3つに共通しているのは、「頑張らせない」ことです。

頑張れる時期ではありません。でも、切らさないことには大きな意味がある時期です。そこだけ守っていただければ十分だと思っています。

ほてりや発汗は、婦人科の領分です

最後に、線引きをはっきりさせておきます。

ほてりや発汗は更年期の方の40〜80%に見られるとされる、とても多い症状です。ただしこれは私の領分ではありません。体を動かす話でどうにかするものではなく、婦人科で相談すべきものです。

調べた範囲では、受診の目安として「簡略更年期指数(SMI)」という指標が広く使われています。1992年に小山嵩夫氏らが発表したもので、10項目の症状を自分で採点する形式です。

点数に応じた目安も示されていて、51点以上では医師の診察を受けることが勧められています。

実際のチェック項目は女性の健康推進室ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修)で確認できます。数分で終わりますので、気になる方は一度試してみてください。

※ここは私の経験ではなく、調べた情報としてお伝えしています。点数が低くても、つらいと感じているなら受診して構わないとされています。

まとめ

  • 体重はなだらかにしか動かない。変わっているのは中身
  • 脂肪は内臓のまわりに集まりやすくなる。だからお腹だけ出る
  • 変化が速いのは3〜4年ほど。ずっと続くわけではない
  • 減るのは筋肉と骨。運動が直接効く場所
  • 頑張る時期ではなく、切らさない時期

体重が動かないことを、失敗だと思わないでください。この時期は、そういう時期です。

そして体重が動かない間にも、守れているものがあります。それが分かっているだけで、続けやすくなると思います。

続けられる形を、一緒に見つけませんか

「以前と同じようにやっているのに、うまくいかない」

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そんな方は、一度ご相談ください。

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