このような方にお勧めの記事です
  • 運動から何か月か離れてしまっている方
  • ついてきた筋肉も体力も、なくなってしまったと感じている方
  • また一から始め直すのかと思うと、気が進まない方

「しばらく空いてしまったので、また一からですよね」

何か月か運動から離れていた方が、ジムに戻ってきたときに言われることがあります。

気持ちは、よく分かります。

ついてきた筋肉も、上がってきた体力も、休んでいるあいだに消えてしまった。また、あの最初のきつさから始め直すのか。

そう思うと、なかなか足が向かないのではないでしょうか?

トレーニングには「可逆性の原則」という言葉があります。続けて得たものは、やめれば元に近づいていく、という意味です。

そのとおりです。休めば、体は元に近づいていきます。

ただ、休んだあとの体を調べた研究を読んでいくと、少し違うことも書かれていました。

筋肉の太さは始める前の状態に近づいていきましたが、筋力のほうは、筋肉が細くなった割には強いまま保たれていました。

何が落ちて、何が残るのか。早速見ていきましょう。

この記事の結論を先にお伝えします

  • 運動をやめれば、筋肉も筋力も、元の状態に近づいていく
  • ただし、筋肉が細くなった割には、筋力は保たれやすい
  • 20週間休んで筋肉の太さが元に戻っても、筋力は高いまま残っていた
  • それでも、再開するときの位置は、何もしていなかった頃と同じではない

休むと、体は元の状態に近づいていく

まず、都合の悪いほうからお伝えします。

冒頭でお伝えした「可逆性の原則」のとおりです。運動をやめれば、体は元の状態に近づいていきます。ここは避けられません。

では、どれくらいの期間で、どれくらい落ちるのでしょうか?

2022年に、高齢の方が筋トレをやめたあと、筋肉のサイズがどうなるかを調べた研究をまとめた報告が出ています。

休んだ期間筋肉のサイズ
12〜24週間(約3〜6か月)減っているかどうか、はっきりしなかった
31〜52週間(約8か月〜1年)はっきり減っていた

ここ、少しややこしいのですが大事なところです。

3〜6か月のほうは「減らなかった」ではありません。「減ったと言えるだけの差が出なかった」という意味です。

※この報告は6件の研究をまとめたもので、参加者は1件あたり5〜19人と、かなり小さい規模です。しかも65〜83歳の方が対象で、調べたのは太ももの筋肉だけでした。40代・50代にそのまま当てはまるとは限りません。

もちろん、長く休めば筋肉は減っていきます。その方向は、はっきりしていますね。

ここまでなら、冒頭の「また一からですよね」は正しいことになります。

ところが、話はもう一段あるんです。

筋肉の太さは戻っても、筋力は残っていた

2019年に、スポーツ生理学の専門誌『Journal of Applied Physiology』に発表された研究があります。休んだあとの体を、かなり丁寧に追いかけたものです。

この研究、実験のやり方が少し変わっています。

片脚だけを鍛えるのです。もう一方の脚は、何もしません。

なぜ、こんなことをするのでしょうか?

人を2つのグループに分けて比べると、食事も睡眠も生活も、もともとの体質も違います。差が出ても、それが本当にトレーニングのせいなのか、分かりませんよね。

ところが同じ人の中で左右を比べれば、その人の生活も体質も、まったく同じです。残る違いは「鍛えたかどうか」だけになります。

期間やったこと
最初の10週間片脚だけ筋トレ
次の20週間完全に休む
最後の5週間両脚で筋トレを再開

参加者は男性9人と女性10人でした。

最初の10週間で、鍛えた脚はこう変わりました。

  • 筋肉の断面積が約17%大きくなった
  • 筋肉の厚みが約10%増えた
  • 筋力が約20%上がった

ちなみに「断面積」も「厚み」も、どちらも筋肉の太さを測ったものです。測り方が違うだけですね。

そして、20週間まるまる休みます。約5か月ですね。

さて、どうなっていたと思いますか?

何を測ったか20週間休んだあと
筋肉の厚み始める前の値まで戻った
筋肉の断面積始める前の値まで戻った
筋力高いまま残っていた

見た目の筋肉は元通りになったのに、力は残っていました。

研究者たちは、この理由をこう説明しています。

長く続く、運動学習の効果

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

同じスクワットでも、初めてやる人と、何度もやってきた人とでは、出せる力が違いますよね。

筋肉の量が同じでも、です。

初めてスクワットをすると、脚だけでなく、肩や首にまで力が入ってしまうことがあります。ところが何度かやるうちに、そこは抜けて、脚で立てるようになりますよね。

どこに力を入れて、どこは抜くか。体は、それを少しずつ覚えていきます。

この「覚えた分」は、筋肉が細くなっても消えていませんでした。

自転車の乗り方を、何年ぶりでも覚えているのと近いところがあると思っています。

ちなみに、これは私が現場で感じてきたことと重なります。

長く休んで戻ってきた方は、初めて体験に来られたときよりは動けています。ご本人は「また一からです」とおっしゃるのですが、見ている側からすると、そうではありません。

それでも、ゼロからのやり直しではない

ここまでを、整理しましょう。

  • 休めば、筋肉も筋力も元に近づいていく
  • ただし筋肉が細くなった割には、筋力は保たれやすい

ここから言えることは、ひとつです。

スタート地点が、違います。

何もしていなかった頃と、同じ場所に戻ったわけではないんですね。

「また一から」と感じるとき、頭にあるのはいちばん最初の、何をしていいかも分からなかった頃ではないでしょうか?

その頃と今とでは、体に残っているものが違います。

では、スタート地点が違うと、具体的に何がいいのでしょうか?

  • 扱える重さが、早く戻る
  • 動き方を、覚え直さなくていい
  • 同じ重さでも、狙ったところに効かせられる

ひとつずつ見ていきましょう。

まず「扱える重さが、早く戻る」です。

体を変えるには、いつもより負荷がかかっている必要があります。軽すぎる重さを何回やっても、体は「これくらいなら今のままでいい」と判断してしまいますよね。

まったくの初めてだと、その負荷を扱えるようになるまでに時間がかかります。ところが力が残っていれば、そこへ戻るまでが短くて済みます。

効く負荷に、早くたどり着けるということです。

次に「動き方を、覚え直さなくていい」

初めての方は、まずフォームを覚えるところから始まります。しゃがむ深さ、背中の向き、足の位置。ここに時間がかかります。

一度やっていた方は、体が覚えています。ここを飛ばせるのは、かなり大きいです。

そして「同じ重さでも、狙ったところに効かせられる」

先ほどの、肩や首に力が入ってしまう話です。同じ10回でも、狙ったところに効かせられるかどうかで、体に入る刺激は変わります。軽めの重さから始めても、無駄になりません。

とはいえ、いきなり前の重さには戻さない

ここまで良い話が続いたので、ひとつだけ、気をつけたいことをお伝えします。

力が残っているぶん、以前と同じ重さが「持ててしまう」ことがあるんですね。

ただ、筋肉そのものは細くなっています。

持てることと、その負荷に体が耐えられることは、別の話です。ここで無理をすると、痛めてしまいます。

私も、休んだあとの再開時には負荷を下げてから始めて、そこから少しずつ戻していきます。

持てるかどうかではなく、翌日どうかで決めています。

どれくらいのペースで戻すかは、休んだ期間や、その方の体によって変わります。ここは一人で決めるより、見てもらいながら進めたほうが早いと思います。

再開するときの進め方については、ジム初心者ほど”最初から週2〜3回を目指しすぎない方がいい”理由|続けるための考え方もあわせてご覧ください。

まとめ

  • 運動をやめれば、筋肉も筋力も、元の状態に近づいていく
  • ただし、筋肉が細くなった割には、筋力は保たれやすい
  • 20週間休んで筋肉の太さが元に戻っても、筋力は高いまま残っていた
  • それでも、始める位置は、何もしていなかった頃と同じではない
  • 再開するときは、重さを下げてから始める

私自身も、怪我などで数か月、トレーニングから離れたことがあります。

そのたびに感じるのは、以前に上げていた重さには、比較的すぐ戻るということです。

これは「人より速く伸びる」という意味ではありません。そもそも、落ちきっていなかったということだと思っています。

これまでの分は、なくなっていません。

年齢を理由にためらっている方は、筋肉は何歳まで増える?|90代でも増えた研究結果もあわせてご覧ください。

しばらく空いてしまった方も、一度ご相談ください

「前に来ていたときより、明らかに落ちています」

「久しぶりすぎて、何から戻せばいいのか分かりません」

そんな方は、一度ご相談ください。

まちの隠れ家ジム宿河原では、いまの状態を見たうえで、どこから戻すかを決めています。以前と同じ内容から再開することは、していません。

気になる方は、こちらから詳細をご覧ください。

https://machigym-syukugawara.com/