このブログを読む前に|「ヘルスリテラシー」という言葉に込めていること
- 健康情報が多すぎて、何を信じればいいか分からない方
- 「〇〇が体にいい」を試しては、また別の情報に乗り換えている方
- このブログがどういう考えで書かれているか知りたい方
このブログの名前は「ヘルスリテラシー」といいます。
少し硬い言葉なので、最初に何を意味しているかをお伝えしておきます。このブログの記事を読むときの、前提のような話です。
ひとつ、質問をさせてください。
「おやつを食べるなら、洋菓子より和菓子のほうがいい」
なんとなく、そんな印象をお持ちではないでしょうか。バターや生クリームを使わないぶん、あっさりしていて体に良さそうだと。
ところが先日、テレビを見ていたら逆のことが言われていました。
「糖尿病を予防したいなら、和菓子より洋菓子のほうがいい」
これ、間違いではありません。きちんとした根拠があります。
では、洋菓子を選べばいいのでしょうか。
この問いをたどっていくと、私がこのブログで大事にしていることが、そのまま出てきます。
テレビで「和菓子より洋菓子」と言っていました
たしかに、根拠はあります
理由は血糖値の上がり方です。
和菓子はあんこや餅が中心で、油をほとんど含みません。そのため糖質がそのまま吸収され、血糖値が急に上がります。
一方の洋菓子には、バターや生クリームの脂質が入っています。脂質が一緒にあると、糖の消化と吸収が遅くなります。だから血糖値の上がり方が緩やかになる、という理屈です。
これは理屈だけの話ではありません。糖尿病を専門とする医師が、実際の患者さんの持続血糖測定のデータでも、洋菓子より和菓子のほうが血糖値の上昇角度が急な傾向があると解説しています。
つまりテレビで言っていたことは、血糖値という物差しで見れば正しいわけです。
では、洋菓子を選べばいいのでしょうか
ここで私が気になったのは、洋菓子に含まれる脂質そのものでした。
少しだけ、脂質の話をさせてください。
脂質をつくっている「脂肪酸」には、大きく分けて飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。
このうち飽和脂肪酸は、肉の脂身・バター・生クリーム・乳製品など、主に動物性の脂に多く含まれます。常温で白く固まっているものを思い浮かべていただくと、だいたい合っています。
そして、これは体に必要な栄養素です。エネルギー源になりますし、細胞膜やホルモンの材料にもなります。
ただし摂りすぎると、肥満やLDLコレステロールの上昇を招き、心筋梗塞などの循環器疾患のリスクを高めるとされています。
どれくらい入っているのか、調べてみました。
ショートケーキの飽和脂肪酸は、100gあたり約5.8g。18cmのケーキを8等分した1切れ(約119g)なら、およそ7gになります。
日本人を対象にした研究では、脳卒中と心筋梗塞のリスクが最も低かったのは1日20g前後を摂っていた集団でした。
つまりケーキ1切れで、1日分の3分の1を超えます。
血糖値の上がり方は、たしかに洋菓子のほうが緩やかかもしれません。でも、別のリスクを一緒に受け取っています。
※念のため書いておくと、飽和脂肪酸は「減らせば減らすほど良い」というものでもありません。少なすぎると脳出血が増えることが分かっていて、食事摂取基準でも下限が置かれています。ふだんの食事で肉や卵、乳製品を食べていれば不足することはまずありませんが、極端に避ける必要はない、という意味です。
そもそも、どちらも行き先は同じです
ここまで書いて、私はもう一度考え直しました。
糖尿病と動脈硬化は、別々の問題ではありません。
糖尿病は動脈硬化を進める大きな要因です。血糖値が高い状態が続くと血管が傷み、糖尿病のある方の脳梗塞の発症リスクは、そうでない方の2〜4倍とされています。心疾患についても、血糖値の高い人はリスクが約3倍という報告があります。
つまり「糖尿病を避けるために洋菓子」「動脈硬化を避けるために和菓子」と選び分ける発想自体が、そもそも成り立っていません。
どちらの道も、同じところに向かっています。

誤解のないように書いておくと、ショートケーキが悪者だという話ではありません。
「和菓子はダメでも、ショートケーキなら健康的でしょ」という単純な話ではない、というだけです。どちらも、おいしく食べていいものですよ〜!
私たちが本当に望んでいるのは、何でしょうか
糖尿病も、動脈硬化から起こる病気も、行き着く先は同じです。
体が思うように動かなくなり、できることが減っていくこと。
※厳密に言えば、まったく同じではありません。糖尿病には網膜症・腎症・神経障害という固有の合併症があり、失明や透析につながることもあります。つまり「糖尿病のほうが軽い」という意味ではありません。ここで「同じ」と書いているのは、どちらも日常生活を送る力を奪っていく、という点においてです。
ここで、ひとつ数字をご覧ください。
| 平均寿命 | 健康寿命 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 男性 | 81.05歳 | 72.57歳 | 8.49年 |
| 女性 | 87.09歳 | 75.45歳 | 11.63年 |
※2022年の数値。健康寿命は「日常生活に制限のない期間」を指します。
女性で11.63年。これは平均して、人生の最後の11年以上を、日常生活に何らかの制限がある状態で過ごしているということです。
私たちは、「糖尿病になりたくない」わけではありません。「長く元気でいたい」はずです。
糖尿病を避けることは、その手段のひとつにすぎません。

「糖尿病予防なら洋菓子」という情報は、正しく測れています。
ただ、測っているのは「糖尿病」であって、「健康寿命」ではありません。ここが今日いちばんお伝えしたいところです。
一つの物差しで測った答えは、その物差しの上では正しい。でも、それがあなたの目的を測っているとは限りません。
情報がこう伝わるのには、理由があります
ここで誤解のないように書いておきます。
「テレビやネットの情報は信用できない」という話ではありません。私も見ますし、参考にしています。
ただ、そういう伝わり方にならざるを得ない事情があります。3つ挙げます。
1. 尺と文字数に、限りがあります
テレビの1コーナーは数分です。記事にも文字数の制限があります。
今回の話をきちんと伝えようとすると、血糖値の話をして、飽和脂肪酸の話をして、両者の関係を説明して……となります。この記事の長さが必要です。数分では入りません。
だから、いちばん伝わりやすい一点に絞られます。手を抜いているのではなく、そうしないと成立しないんです。
2. 見てもらうための編集が入ります
これは、私自身の経験からお伝えします。

私も過去に、ネット記事の監修をさせていただいたことがあります。
正直に言うと、まあまあ編集は入りました。
誰かが悪意を持っているわけではありません。読まれなければ意味がないので、より印象に残る表現が選ばれていきます。それは、その媒体の役割として当然のことです。
ただ結果として、監修した側の意図と、少しずつ違う形で届くことがあります。言い切った表現になっていたり、「かもしれません」が消えていたり。
発信する側に一度立ってみると、これはよく分かります。
3. 一方通行では、あなたに合わせられません
そして、これがいちばん大きいと思います。
テレビも記事も、画面の向こうにいる人がどんな人か分かりません。血糖値が気になる方も、コレステロールを指摘された方も、どちらでもない方も、同じ情報を受け取ります。
だから「万人にとって正しい情報」を目指すしかなく、それは「あなたにとって正しい情報」とは違います。
この最後のひと工程だけは、受け取る側にしかできません。
これが「ヘルスリテラシー」です
ようやく、ブログの名前の話です。
ヘルスリテラシーという言葉は、1998年にWHOの用語集で示された定義が広く使われています。ナットビームという研究者は、これを3つの段階に分けました。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 機能的 | 健康情報を読んで、理解できる |
| 相互作用的 | 人とやりとりして、行動に移せる |
| 批判的 | 情報を分析して、判断できる |
「批判的」というと攻撃的に聞こえますが、そうではありません。けなすことではなく、鵜呑みにせず考えることです。
ここまで一緒にたどってきたことが、まさにこれです。
- その情報は、何を物差しにしていますか
- その物差しは、あなたの目的を測っていますか
- 反対側から見ると、どうなりますか
この3つを一度考えるだけで、受け取り方がずいぶん変わります。

ちなみに「日本人のヘルスリテラシーは世界最低」と言われることがあります。
ただ、あれは自己評価による調査です。自分を低めに評価する傾向は国によって違いますから、私はそのままは受け取っていません。この話も、一つの物差しです。
だから、私はこう書いています
ここまでが、このブログの前提です。具体的にどう書いているかも、お見せしておきます。
分からないことは、分からないと書きます
「夏は汗をかくから痩せる」は本当?という記事では、夏に消費が下がる要因をいくつか挙げたうえで、「それが体重をはっきり動かすレベルなのかを示した研究は見つけられませんでした」と書いています。
そう書くと記事は弱くなります。でも、ないものをあるように書くほうが問題です。
自分に不利なことも書きます
運動で消費するカロリーは、思ったより少ない?では、30分歩いて増える消費は約72kcalしかないと書きました。
トレーナーとしては言いたくない話です。ただ、ここを曖昧にすると「動いた分は食べていい」という誤解につながります。
経験していないことは、していないと書きます
更年期の記事では、冒頭で「私は男性なので、更年期を経験したことはありません」と明記しました。
「わかります」とは書けません。その代わり、お客様から伺ってきたことと、調べた資料で書けるところまでを書いています。
完璧である必要は、ありません
最後に、これだけはお伝えしておきたいことがあります。
ここまで書いておいて何ですが、すべての情報をこうやって検討する必要はありません。そんなことをしていたら、おやつひとつ選べなくなります。
私が身につけていただきたいのは、知識そのものではありません。
「反対側から見たら、どうなんだろう」と、一度だけ思えること。
それだけで十分です。その一瞬があるかどうかで、情報に振り回される量がまったく変わります。
そして、ひとつ約束をさせてください。
このブログでは、私が反対側を調べたうえで書きます。
そして分からなかったことは、分からなかったと書きます。そのほうが、長く使っていただける情報になると思っています。
ひとつ、正直に付け加えておきます。
このブログには2022年から書いてきた記事が300本以上あります。そのすべてが、いま書いた基準を満たしているかというと、正直あやしいです。当時は、ここまで意識できていませんでした。
実はこの記事も、2022年に書いたものを全面的に書き直したものです。気づいたものから、こうして直しています。
もし「これ、片側しか見ていないな」という記事を見つけたら、それは私の宿題です。(そして、そう気づけたなら、この記事は役目を果たしたということでもありますね)
それでは、気になる記事から読んでみてください。
筆者在籍パーソナルジム紹介
まちの隠れ家ジム宿河原
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フィットネススタジオヴィスティ自由が丘
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連絡先は
mail:hiromi11100430@gmail.com
もちろん、単純に質の低い情報があふれているのも事実です。そこは分けて考える必要があります。
ここで書いているのは、良い情報であっても、そのままでは自分に当てはまらないことがあるという話です。