このような方にお勧めの記事です
  • 体を柔らかくしたくて、ストレッチを続けている方
  • ストレッチをしているのに、思ったほど変わらないと感じている方
  • 体が硬いから、筋トレは自分に向いていないと思っている方

体を柔らかくしたい。そう思ったとき、多くの方がまずストレッチを思い浮かべます。

実際、私がお会いしてきた方も、ほとんどがそうでした。柔らかくするための方法として、ストレッチ以外が挙がることは、ほとんどありません。

ただ、ストレッチを続けているのに思ったほど変わらない、という方にも何度もお会いしてきました。

柔軟性を上げる方法は、ストレッチだけではありません。

筋トレを続けた人たちも、柔軟性が上がっていた。そういう報告が出ています。

この記事では、その根拠と、始めるときに気をつけたいことをお伝えします。

この記事の結論を先にお伝えします

  • 筋トレを続けた人たちは、柔軟性も上がっていた
  • ストレッチと比べても、可動域の伸びに差はなかった
  • 軽すぎるな、と感じる負荷では変わりにくい
  • ストレッチが不要という話ではない。ストレッチはストレッチで有効

筋トレをすると、柔軟性も上がっていた

2025年に、筋力トレーニングの専門誌『Journal of Strength and Conditioning Research』に発表された報告があります。筋トレが柔軟性にどう影響するかを調べた研究を、36件集めてまとめ直したものです。

項目内容
まとめた研究36件
参加者1,469人
参加者の平均年齢46.2歳
取り組んだ期間平均11週間(4〜24週間)

結果は、筋トレをしたグループのほうが、何もしなかったグループより柔軟性が上がっていたというものでした。効果の大きさも、統計の分類でいう「中くらいから大きい」に入ります。

この報告で注目したのは、参加者の平均年齢が46.2歳だったことです。

この手の研究は、大学生を対象にしたものが多くなりがちです。そうなると「若い人だから変わったのでは」という疑問が残ります。ところがこの報告は、年齢によって効果に差が出るかどうかも調べていて、差は出ていません。

40代でも50代でも、同じように変わっていたということです。

ちなみに私自身、体は硬いほうです。

指導の場では、筋トレを続けるうちに前屈が深くなっていった方も、いらっしゃいます。柔らかくすることを目的にしていたわけではないのに、結果としてそうなっていた、という形です。

※ひとつだけ添えておきます。この報告だけでは、「筋トレをすれば必ず柔らかくなる」とまでは言えません。まとめた研究者たち自身が、集まった研究の質にばらつきがあることを理由に、決定的な結論は出せないと書いています。

ここまでは「筋トレをした人」と「何もしなかった人」の比較でした。次の報告が、この記事のいちばんの土台になります。

ストレッチと比べても、伸びに差はなかった

さきほどの報告が比べていたのは、筋トレをした人と、何もしなかった人でした。

では、ストレッチと比べたらどうなのか。そこを調べた報告が、2023年にスポーツ医学の専門誌『Sports Medicine』に出ています。

項目内容
まとめた研究55件
参加者2,756人
取り組んだ期間4〜24週間
比べたもの筋トレをした人とストレッチをした人

結果は、こうでした。

可動域の伸び方に、差は見つかりませんでした。

差の大きさを数値で見ても、ほぼゼロです。柔軟性を上げるという目的において、筋トレはストレッチに引けを取っていませんでした。

55件、2,756人分です。この記事でいちばん確かなのは、ここです。

この報告をまとめた研究者たちは、結論をこう書いています。

外的な負荷を使った筋力トレーニングは、可動域を改善しうる

ここまでをまとめると、こうなります。

  • ストレッチは、体を柔らかくする唯一の方法ではない
  • ストレッチが、体を柔らかくする最善の方法とも言い切れない

※ただし、こちらの報告の参加者は平均23.9歳です。さきほどの46.2歳の報告とは、対象が違います。また「差が見つからなかった」は「まったく同じだと証明された」という意味ではありません。

※なお、ここでお話ししているのは4〜24週間かけて取り組んだ場合の話です。運動の直前におこなうウォームアップとしてのストレッチは、まったく別の話になるので、この記事では扱いません。

「柔らかくなる」とは、何が変わることなのか

ここで、疑問が出てくると思います。

なぜ、筋肉を縮める運動である筋トレで、体が柔らかくなるのか。

実際、「筋トレをすると体が硬くなる」と思っている方に、お会いすることがあります。筋肉が大きくなったら、その分だけ動きにくくなりそうな気がする。そう感じるのは自然だと思います。

ここを解くカギは、「柔らかくなる」という言葉の中身にあります。

2025年に『Sports Medicine』に出た別の報告が、ストレッチで可動域が広がるとき、体の中で何が変わっているのかを調べています。65件の研究、1,542人分をまとめたものです。

そこで分かったのは、次のことでした。

  • 筋肉そのものの長さは、変化が確認されなかった
  • 変わっていたのは、伸ばされたときの「つっぱる感じ」への慣れ
  • それと、筋肉と腱(けん)の硬さ

※腱は、筋肉と骨をつないでいる部分です。アキレス腱が分かりやすい例だと思います。

つまりこの報告では、体が柔らかくなるときに、筋肉そのものが長くなっている様子は確認されませんでした。同じところまで動かしても、つらく感じなくなる。だからもっと動かせるようになる。確認できたのは、そういう変化です。

※「確認されなかった」であって、「絶対に長くならない」と証明されたわけではありません。測り方や期間によっては、違う結果が出る可能性も残っています。

ゴムのように伸びるイメージを持たれがちですが、実際に起きているのは、もう少し地味な変化だということですね。

そう考えると、筋トレでも柔軟性が上がることに、無理がなくなります。関節をしっかり動かして、その範囲で力を出す。それを繰り返せば、同じ範囲が「いつものこと」になっていきます。

※この報告が調べたのはストレッチをしたときの体の変化です。筋トレでもまったく同じことが起きている、と確かめられたわけではありません。

軽すぎるな、と感じる負荷では変わりにくい

ここが、この記事でいちばん持ち帰っていただきたいところです。

筋トレなら何でもいい、という話ではありませんでした。2つの報告が、そろって同じ方向を指しています。

報告分かったこと
36件・1,469人のまとめ強度が高いほうが、効果が大きかった
55件・2,756人のまとめ自重だけでは、はっきりした改善が出なかった

強度を高くしたグループの効果は、低くしたグループの2倍以上でした。そして自重だけのトレーニングでは、可動域の改善がはっきりとは確認できていません。

ここで、「自重ではだめなのか」と思われた方がいるかもしれません。そうではありません。

大事なのは自重かどうかではなく、その人にとって十分な負荷になっているかです。体は、いつもより負荷がかかったときに変わっていきます。

たとえば腕立て伏せは、自重の代表的な種目です。ただ、これを「軽い」と感じる方のほうが、少ないのではないでしょうか。同じ自重でも、その人にとっては十分な負荷になっています。

つまり何をやるかより、「自分にとって手ごたえがあるか」ということです。

硬いまま始めても、動きは変わっていく

ここで、こう思われるかもしれません。

「硬いのに、しっかり負荷をかけて大丈夫なのか」

実際に、可動域が狭い状態から筋トレを始めた高齢の方にも、動きが変わっていくのを見てきました。最初から深くしゃがめる必要も、床に手がつく必要もありません。

いま動かせる範囲の中で、きちんと負荷をかける。そのうえで、動かせる範囲が広がったら、そこまで使う。この順番です。

「硬いままだと、怪我をしそうで」と言われることもあります。硬さと怪我のしやすさの関係そのものは、この記事では扱いません。ただ、怪我を避けるために私がしていることは、はっきりしています。

軽いところから始めて、少しずつ増やしていく。これだけです。初日から手ごたえのある重さを探しにいく必要はありません。数週間かけて上げていけば、十分間に合います。

硬いことより、いきなり負荷を増やすことのほうが、よほど気をつけたいと思っています。

ストレッチは、ストレッチで有効

ここまで読んで、「ストレッチには意味がないのか」と思われた方がいるかもしれません。

そうではありません。むしろ逆です。

さきほど紹介した65件・1,542人の報告は、ストレッチで可動域が広がることを前提に、その仕組みを調べたものです。ストレッチに効果があること自体は、しっかり確かめられています。

この記事でお伝えしたかったのは、ストレッチが効かないということではありません。

柔らかくなってから筋トレ、と順番を待つ必要はないということです。

ストレッチが好きなら、続けてください。気持ちよさや、体を整える時間としての価値もあります。筋トレと組み合わせても構いません。どちらかを選ばなければいけない、という話ではないからです。

柔軟性と筋力の関係については、ストレッチだけでは足りない?柔軟性と筋力の関係もあわせてご覧ください。ストレッチそのものの効果は、ストレッチの効果がすごい!40代から始める体の不調を改善する簡単習慣にまとめています。

まとめ

  • 筋トレを続けた人たちは、柔軟性も上がっていた(36件・1,469人・平均46.2歳)
  • 年齢によって効果に差は出ていなかった
  • ストレッチと比べても、可動域の伸びに差はなかった(55件・2,756人)
  • ただし研究の質にはばらつきがあり、確実とまでは言い切れない
  • 柔らかくなるとき、筋肉そのものが長くなっている様子は確認されていない
  • 軽すぎるな、と感じる負荷では変わりにくい
  • ストレッチはストレッチで有効。やめる必要はない

体を柔らかくしたいと思ってストレッチをすること自体は、まったく間違っていません。

ただ、「柔らかくなってから」と待っている間も、体は変わり続けます。

筋肉は、使わなければ少しずつ落ちていきます。階段の上りが重く感じる。立ち上がるときに、手をつくようになる。買い物袋を、途中で持ち替えるようになる。こうした変化は、ある日突然ではなく、少しずつ進みます。

そして筋肉は何歳まで増える?|90代でも増えた研究結果でお伝えしたとおり、始めるのに遅すぎるということは、ありません。

硬いままで、始めていいのです。

体が硬いことが気になる方も、一度ご相談ください

「体が硬いので、ついていけるか心配です」

「どこまで動かしていいのか、自分では分かりません」

そんな方は、一度ご相談ください。

まちの隠れ家ジム宿河原では、いま動かせる範囲を一緒に確認したうえで、内容を決めています。硬いままで始めていただいて、まったく問題ありません。

気になる方は、こちらから詳細をご覧ください。

https://machigym-syukugawara.com/