筋トレの休憩は削るともったいない?目的別の目安をトレーナーが解説
- パーソナルトレーニングやジムで、セットの間の休憩を「もったいない」と感じる方
- 「休憩を削って、少しでも多くやったほうがいいのでは?」と思っている方
- セットの間に何秒くらい休めばいいのか知りたい方
せっかくの60分のパーソナルトレーニング。セットの間に水を飲みながら、ふと時計を見る。
「休んでる時間がもったいない。少しでも多くやったほうがいいんじゃないの?」
そう思ったことはありませんか?
結論からお伝えすると、「少しでも多くやりたい」という考えは正しいです。ただ、セットの間の休憩は長くても短くても、得することと損することがあります。
長く休めば、疲れが取れるので、次のセットも回数やフォームを保ちやすくなります。そのかわり時間がかかるので、60分でできるセットの数は減ります。
短く休めば、60分でできるセットの数を増やせます。そのかわり疲れが残ったまま次のセットに入るので、回数が減ったりフォームが崩れたりしやすくなります。
どちらを優先したほうがいいかは、目的によって変わります。この記事では、研究から見た理想の時間と、私が現場で目安にしている時間をあわせてお伝えします。
早速見ていきましょう。
この記事の結論を先にお伝えします
- 長く休めば、次のセットの回数やフォームを保ちやすいが、60分でできるセットの数は減る。短く休めば、セットの数は増やせるが、次のセットの回数が減ったりフォームが崩れたりしやすい
- どちらを優先するかは目的で変わる。私の現場では、筋肉を増やすなら60〜120秒、筋力を伸ばすなら120〜240秒、フォームを覚える段階なら30〜60秒
- 休憩を削っていいかは、次のセットを正しいフォームでできそうかで決める
セットの間の休憩は、長くても短くても得と損がある
「休憩を削れば、その分たくさんできるんじゃないの?」
セットの数だけを見れば、そのとおりです。
たとえば、1セットに1分かかるとしましょう。種目の入れ替えや説明の時間を除いて単純に計算すると、60分でできるセットの数はこのように変わります。
| セットの間の休憩 | 1セットごとにかかる時間 | 60分でできるセットの数 |
|---|---|---|
| 1分 | 2分(1セット1分+休憩1分) | 30セット |
| 3分 | 4分(1セット1分+休憩3分) | 15セット |
休憩を1分にすれば、3分のときの2倍のセットができる計算です。
ただ、変わるのはセットの数だけではありません。1セットの中身も変わります。
筋トレをすると筋肉が疲れて、同じ重さを同じ回数だけ持ち上げることができなくなっていきます。セットの間の休憩は、この疲れを取るための時間です。
休憩が短いと、疲れが残ったまま次のセットに入ります。たとえば1セット目に10回できた重さが、2セット目は8回、3セット目は6回と減っていきやすくなります。動きを支える力も落ちるので、フォームも崩れやすくなります。私の現場でも、休憩を短くしすぎて、次のセットの回数が落ちたりフォームが崩れたりしたお客様を見たことがあります。
反対に長く休めば、疲れが取れた状態で次のセットに入れるので、2セット目も3セット目も回数やフォームを保ちやすくなります。そのかわり時間がかかるので、60分でできるセットの数は減ります。
まとめると、このようになります。
| 長く休んで、しっかり行う | 短い休憩で、どんどん行う | |
|---|---|---|
| 得すること | 疲れが取れるので、次のセットも回数やフォームを保ちやすい | 60分でできるセットの数を増やせる |
| 損すること | 時間がかかるので、60分でできるセットの数は減る | 疲れが残るので、次のセットの回数が減ったりフォームが崩れたりしやすい |
1セットの中身をとれば、セットの数が減る。セットの数をとれば、1セットの中身が落ちる。60分という時間が決まっている以上、両方を最大にすることはできないのです。
「じゃあ、合計するとどっちが得なの?」
同じ時間の中で、長く休む人と短く休む人の効果を比べた研究は、私が調べた範囲では見つかりませんでした。
ここからは私の考えですが、どちらかがいつも得、ということはないと思います。筋肉を増やしたいのか、持ち上げられる重さを伸ばしたいのか、フォームを覚えたいのかによって、優先したいものが変わるからです。
長く休むか短く休むかは、何を優先したいかで決めましょう。
休憩の目安は、目的によって変わる
「じゃあ、私はどちらを優先して、どのくらい休めばいいの?」
研究から見た理想の時間と、私が現場で目安にしている時間を、目的ごとに並べました。
| 目的 | 研究から見た理想 | 私の現場での目安 |
|---|---|---|
| 筋肉を増やしたい | 60秒より長く | 60〜120秒 |
| 筋力(持ち上げられる重さ)を伸ばしたい | 経験者は2分より長く 始めたばかりの方は60〜120秒 | 120〜240秒 |
| シェイプアップ(筋肉を増やして引き締める) | 筋肉を増やす場合と同じ | 60〜120秒 |
| シェイプアップ(動く量を増やして消費カロリーを増やす) | 決まった時間は言えない | 30〜60秒 |
| フォームを覚えたい | 研究では時間を決められない | 30〜60秒 |
| 息が上がりやすい | 研究では時間を決められない | フォームに影響が出ない程度に息が整うまで |
研究の多くは、セット数などの条件をそろえて、休憩の長さを比べたものです。60分という時間の中で、セットの数が減る損までは計算に入っていません。そのため、「私の現場での目安」は研究の理想と少し違うところがあります。
※研究の対象者は、多くが若い男性です。「私の現場での目安」は、研究の結果そのものではなく、研究と私の指導経験を踏まえた目安です。
筋肉を増やしたい場合の休憩は、60〜120秒が目安
筋肉を増やしたい場合は、1セットの中身とセットの数の両方が大事です。
筋肉の増え方には、ある程度きつくなるまで反復したセットを、どれだけ積み重ねられるかが関わっています。15件の研究をまとめた報告でも、1週間に行うセットの数が多いほど、筋肉の増え方は大きくなっていました。「少しでも多くやりたい」という考えは、ここでは研究とも合っています。
9件の研究をまとめた報告では、休憩が60秒以下の場合と比べて、60秒より長いほうが筋肉の増え方がわずかに大きい傾向がありました。短い休憩では1セットの回数が減って、こなせる量(重さ×回数×セット数)が減ることが関係しているのかもしれないと考えられています。
では、短い休憩だと損なのかというと、そうとも限りません。28人が片脚で膝を伸ばす筋トレを週2回、10週間続けた研究があります。休憩が1分でもセットを足して、こなす量を休憩3分の場合とそろえると、太ももの筋肉は同じくらい増えていました(1分は12.9%、3分は13.1%)。セットを足さなかった場合は6.8%と、約半分でした。
つまり、休憩を短くしたぶん1セットの回数が減っても、セットを足してこなす量を保てれば取り戻せる可能性があるということです。
ここからは私の考えですが、休憩を長くしすぎるとセットの数を確保しにくくなり、短くしすぎると1セットの回数もフォームも保ちにくくなります。その両方を考えて、私は60〜120秒を目安にしています。
筋力を伸ばしたい場合の休憩は、120〜240秒が目安
持ち上げられる重さ(筋力)を伸ばしたい場合は、セットの数よりも、重い重さを次のセットでも扱えることを優先します。軽い重さより重い重さで行ったほうが、筋力は伸びていた研究があるからです。
休憩が短いと疲れが残って、重い重さを扱いにくくなります。そこで、セットの数が減る損を受け入れて、長めに休みます。
23件・491人の研究をまとめた報告では、60秒未満の短い休憩でも筋力は大きく伸びていました。ただ、筋トレを続けてきた人が筋力を最大限に伸ばすには、2分より長い休憩が必要だと結論づけています。始めたばかりの人は、60〜120秒の休憩で十分とされています。
私の現場でも、重い重さを扱う経験者の方には、休憩を長めにとっていただいています。私自身のトレーニングでも、休憩は長めです。
シェイプアップしたい場合の休憩は、手段によって変わる
筋肉を増やして体を引き締めたい場合は、筋肉を増やすときと同じ、60〜120秒が目安です。優先するものも同じで、1セットの中身とセットの数の両方です。
筋肉が増えれば、その分だけ基礎代謝は増えます。増えた分の体を動かすので、日常の活動で使うカロリーも増えます。1日の差は大きくなくても、半年、1年と続けば、無視できない差になると私は考えています。
動く量を増やして消費カロリーを増やしたい場合は、30〜60秒が目安です。同じ時間でより多く動けるからです。この場合は1セットの回数が多少減っても、動く量を優先します。ただし、フォームが崩れない範囲で行いましょう。
フォームを覚えたい段階の休憩は、30〜60秒が目安
フォームを覚えたい段階では、回数やセットの数よりも、1回1回の動きの正しさを優先します。始めたばかりのお客様には、追い込むより、正しい動きを覚えることを優先しています。そして動きを覚える時期は、疲れすぎないように休憩をとっています。
筋肉を疲れさせてから新しい動きを練習すると、疲れが取れたあとの日にも、覚え方の遅れが残っていた研究があります。
※手の細かい動きを覚える課題の研究で、筋トレのフォームを直接調べたものではありません。
ここからは私の考えですが、筋トレのフォームも、疲れすぎていないときに練習したほうが身につきやすいと考えています。
「疲れすぎないようにするのに、30〜60秒で足りるの?」と思うかもしれませんね。この段階の方は、60秒休めば十分に回復するくらいの負荷しかかけられないことが多いのです。つまり、短く休んでも、1セットの中身が落ちる損がほとんど出ません。動きを覚えている時期には、それで問題ありません。
息が上がりやすい場合の休憩は、息が整うまで
息が上がりやすい方は、秒数よりも息を目安にします。息が上がったまま次のセットに入ると、フォームに影響が出ることがあるからです。
完全に落ち着くまで待つ必要はありません。フォームに影響が出ない程度に息が整ったら、次のセットに入りましょう。
自分の目的に合う時間を、休憩の目安にしましょう。
休憩を削っていいかは、次のセットのフォームで決める
「目安は分かったけど、時間が限られているし、やっぱり休憩は削ったほうがいいの?」
迷ったら、次のセットを正しいフォームでできそうかで決めましょう。私も、休憩の長さはこれで決めています。できそうなら、次のセットに進んで大丈夫です。
なぜフォームで決めるのかというと、回数とフォームでは、削ったときの損の取り戻しやすさが違うからです。
ここからは私の考えですが、回数が少し減るくらいなら、先ほどの研究のようにセットを足して取り戻せると思います。一方で、崩れたフォームのままセットを足しても、取り戻せるとは考えていません。正しいフォームで行えなければ、狙った筋肉にしっかり効かせにくく、けがのリスクも高くなるからです。
目的によって幅はありますが、私の指導ではセットの間の休憩はだいたい1〜2分です。目安の時間が過ぎていても、次のセットを正しいフォームでできそうになければ、もう少し休んで大丈夫です。
「でも、そんなに休んだら、時間内に終わらないのでは?」
決まった時間内に終わるように休憩の長さを調整するのは、私たちトレーナーの仕事です。パーソナルトレーニングを受けている方は、「休憩はこのくらいでいいですか?」と担当のトレーナーに聞いてみてください。
休憩は、さぼっている時間ではありません。次のセットをしっかりやるための時間です。
ちなみに、セットの途中で疲れて動きが止まってしまったときの休み方は、筋トレ、10回連続でできないときは?|一息入れて、正しいフォームで続ければいいでお伝えしています。
「次のセットを正しいフォームでできそう」と思えるまで、堂々と休みましょう。
まとめ
- 長く休めば、次のセットの回数やフォームを保ちやすいが、60分でできるセットの数は減る。短く休めば、セットの数は増やせるが、次のセットの回数が減ったりフォームが崩れたりしやすい
- どちらを優先するかは目的で変わる。私の現場では、筋肉を増やすなら60〜120秒、筋力を伸ばすなら120〜240秒、フォームを覚える段階なら30〜60秒
- 休憩を削っていいかは、次のセットを正しいフォームでできそうかで決める
「少しでも多くやりたい」という気持ちは、そのまま持っていて大丈夫です。
その気持ちを活かすためにも、目的に合わせて、次のセットのための休憩をとりましょう。
当ブログでは、今回のような「よく聞くけれど、本当かどうか分からない話」を研究と現場の経験の両方からお伝えしています。気になるテーマがありましたら、また覗いてみてください。
限られた時間の使い方を、一緒に考えませんか
「自分の目的だと、どのくらい休めばいいのか分からない」
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そんな方は、一度ご相談ください。目的やその日の様子に合わせて、休憩の長さまで含めたトレーニングを一緒に考えていきましょう。
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